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…もまた覗く

BE A BETTER PERSON, BE KIND

※この記事には、差別的な発言の引用などがたくさん含まれます。
該当の件に思い当たりがあり、思い出して気分が悪くなってしまうかもしれない方、また民族差別や性差別、セクシャルハラスメントなどのネガティブな話に触れるのは辛い方も、閲覧にあたりご注意ください。

 

 

 

 

 

ひとつ前のエントリにも少し書いたのですが、2021年、私はほとんど生観戦に行きませんでした。
2月の武道館~12月の名古屋まで、まるっと10か月空きましたね。4月以降はそもそもコロナ禍、イチ推し潮﨑欠場という大きな理由があったのですが、3月はビッグマッチ含めすでにFC先行で購入していたチケットを全て払い戻してもらいました。それには3つ理由があったのですが、そのことをきちんと書いておこうと思います。本当はこの再検証が嫌で嫌でたまらなく、ストレス負荷で気持ち悪くなっているのですが、記録を残しておかないとTwitterは流れて行きますし、風化してしまうのは困りますので。

 

理由その1

2020年1月のノアのサイバーエージェント傘下(サイバーファイト部門)入り発表直後、突然上記のようなツイートをして以来、Twitterを止められていた杉浦選手が、約11か月の沈黙の後、2020年12月の杉浦軍興行を前にTwitterを再開されました。
……↑を読み返すと、よくこの人に完全にハンドリング渡して復活させたな……って感じですね……。実はこのちょっと前にも「泥舟」表現を使った発言はしていて*1、ただそれはツイ消ししてるんですよね。だからこの時の真意みたいなものは明確ではなく、恐らく毎年のように親会社が変わること、そしておそらくサイバーエージェント入りに関して相談というか一言かけるみたいなことが無かったのかな? という感じですが、正味わかりません。ここに関しては主題ではないので、紹介に留めます。マジでわからんし。

まあそんな不穏で(おそらく酒を飲むと)アンコントローラブルな状態になってしまう方が、また普通に試合に関すること以外にも、日常や飼い犬やご自分の考えなどもツイートするようになりました。はっきり申し上げますと、私は杉浦選手をフォローしていないので、以下の色々を知ったのは少し時間的ディレイがあります。面白い話や犬の写真とかは、フォロイーさんがRTしてくれるから別に直でフォローしなくていいやという感じだったんですよね。
で、今これを書くために杉浦選手のツイートを時系列で遡ったら、いくつか……というか私が問題にしようとしていたものが消えていたりしたので、残っている範囲と、あと証拠が無くて申し訳ないのですが記憶で起きたことを補足をさせて頂きます。

再開以降、最初にはっきりと不穏な空気が出て来たのはこのツイートでした。

これ、予備知識が無くてわからない方には何が「何で…」なのか全然わからないと思うのですが、COVID-19ワクチン開発にゲイツ氏が莫大な私財を投じたことから、アメリカのQアノン系を中心とした反ワクチン陰謀論者達が、mRNAワクチンにゲイツ氏がマイクロチップを混入させて人類をコントロールしようとしているという、今この文字列を打っているだけでその非科学的愚かさに頭が痛くなるようなデマを吹聴して回っていまして、ワクチン運用がアメリカ、イギリスで本格化するちょっと前くらいのこの頃、それが最高潮だったんですよね。
杉浦選手はもろにそのQアノン系陰謀論を信じてしまっていたわけです。

そして1週間後には、↑のように「コロナはただの風邪。ワクチンはMicrosoftの陰謀、感染者数云々は医者の金儲け」という反ワクチン陰謀論者の考え方に沿ったご意見を堂々と書き出すようになってしまわれておりました。
引用元アカウントが消えてしまっているのでもう証拠として提出はできませんが、「在日のせい」みたいなツイートも賛同RTしていました。あっという間のことだったので彼の変化に対して認識が追い付けていないファンも多かったと思いますが、この頃くらいからさすがに様子を見ていたファンや、直接サイバーファイトから仕事は受けていないプロレス/格闘技マスコミ関係者などからも諫める声、批判があがるようになったという感じだったと思います。

で、会社からもストップがかかったようで、1月27日のこの「本当のことなんか言えない」というツイートを境に、反ワクチン陰謀論系のツイートは止まりました*2
当時杉浦ファンの方に、「でもInstagramではまだやってるんですよ…」という話を聞いたのですが、2022年現在、当時運用されていたInstagramのアカウント自体が無くなっているようなので(多分)、もう今それを確かめることはできません。私もこの時もう重ねて見るのが嫌すぎて、Instagramまで確認できませんでした……。

これもう本当にしんどい話ですが、杉浦選手のTwitterフォロー欄を見ると、時系列に並んでいるので、Qアノン系Youtuber、極右政治家、いわゆるネット右翼的なアカウントがある時期からドッと増えているのがわかります。それ以前の柴犬のアカウントまとめてフォローしてるあたりとか、微笑ましくて泣けてしまいます。
で、仕上げに内海聡や、緊急事態宣言中に150人集めて自民党から除名処分になった池田としえ日野市議会員(現在Twitterアカウントも削除済み)などの有名反ワクチン系論者や、分科会の尾身会長を嘲笑するだけのネタアカウントとかをたくさんフォローするようになり……という、ある意味、陰謀論オルグされていく流れがよくわかるフォロー欄です。
結局ワクチンも接種されたのでしょうか。コンタクトスポーツの人が健康上の理由でなく接種拒否というのは、自分だけでなく団体そのものに大きなリスクを負わせる判断と思いますが、一体どうなったのかはわかりません。私は推しと試合をする人が感染症対策をしていないと知って恐慌状態に陥りましたが、他のファンは平気だったのでしょうか……。
私は現代的市民社会日本国憲法の下に生きている人間として、内心の自由は絶対と考えておりますので、別にワクチンで5Gに接続されると思っている陰謀論者だろうが、排外主義で男尊女卑の極右だろうが、それは心の中で思っているだけならお好きにどうぞと言うことはできます。でも、陰謀論に託けて他人を攻撃したら、それは同じく現代的市民社会日本国憲法の下に生きている人間として、一発アウトです。特に公人は。
杉浦選手のフォロワーは現在2.5万人。2.5万人に陰謀論と差別を喧伝したら、所属会社を明記している社会人として、今度は会社の責任が問われて来る話です。
だって、普通の会社でそんなことがあったら、解雇か、少なくとも懲戒処分は絶対にありますよね? コンプライアンス研修をしている会社なら、その辺のことは厳禁事項として社員に申し渡していますよね?

サイバーエージェントってもしかしてコンプライアンスが無いのかな……と最初に不安に思ったのがこの件でした。

杉浦選手、思い返せば東日本大震災の時も、プロレスは何もできないというようなネガティブな発言をされていましたよね。きわめてナイーブな方なのだろうな……と思いますし、多くの陰謀論者がそうであるように、社会不安ゆえに極端な現実否定に近い思想に傾いてしまったのだろうと考えると、気持ちはわかります。なので、本音を言えばなんだか「かわいそう」な気がして、あまり強く責める気持ちにはなりません。ですが、それは私が攻撃を受けた当事者ではないという特権を持っているがゆえに、そう思えるだけなんです。外国籍を持ってこの国で生きてきて、プロレスを好きになったファンだったら? あるいは、感染者増加ゆえの医療逼迫で苦しむ中、好きなプロレスを観に行くこともできずに現場で働き続けた医療関係者だったら? それで感染症拡大はお前ら在日のせいだ、医療関係者は金儲けのために嘘をついているだけだと言われたら?
「不安だったんだ、仕方ないんだ」とは、とても思えないですよ。
というか、力道山先生が拓き、数々の外国籍、あるいは外国籍から帰化した経歴を持つ名選手が彩ってきた歴史を持つプロレス業界に身を置きながら、民族差別を平然と行うというのは、マジでどういうことなのでしょうか……。
チャンネル桜などの極右排外活動家の配信にプロレスラーが結構出演しているのも含め、改めて業界が見直し、見つめるべき問題だと思います。
佐山聡が「オカマは死ねばいい」というような発言をしているのをGスピリッツが平然と載せていたのが2006年頃ですか。マスコミもあの頃から何も変わっていないでは済まされません。
今後、日本は恐ろしい勢いで少子化になります。国内だけで売り上げを立てるのではなく、海外へのPPV配信料を当て込むのは、今後の団体運営、コンテンツ制作の上で必須のはず。実際今、どこの団体も海外向けの配信案内をしていますよね?
海外展開に及んで、民族差別、排外主義を明確な形で残すリスクというのは、もうくどくど説明する必要はないと思います。欧米はコンプライアンスの概念がしっかりしているからというのもありますが、海外っていうのは英語圏だけじゃないんだよ、とか、そもそも英語圏に住むアジア系もいっぱいいるんだよ、とかね。
サイバーエージェント…というかサイバーファイトは、この件に関して、中で手を回して対外的には何も説明も謝罪もしないという方策を取りました。はっきり言って禍根を残すやり方です。ストップかけただけなので、上述のようにツイートもフォロー欄も引用・参照ができ、証拠が残りまくっているのを見ると、問題の本質を認識できていないように感じます。
例えこの先国内でしか商売しないとしても、医療関係者へのdisが残ってるのとか、思想の左右を問わず、良心を問われるでしょうに……。
止めて、その上で形式的なものとしてでも一言謝罪を入れればよかったと思います。そうしたら「一段落」になったのに。

 

理由その2

……………これ、なんか説明要りますか?
ヨシの嬉しそうなツイートを引用しちゃって申し訳ないんですけど、ヨシも海外で何を学んできたのでしょうか。まあぐじゃぐじゃな頃のWWEの最後の尻尾みたいな時期だったのでコンプライアンスも何もなかったのかな。

簡単に言うとセクシャルハラスメントであり、厳密に言うと言葉の性暴力です。

本当に気持ちが悪くて、武藤がここに来て金村キンタロー*3や前髪の人の次くらいに顔を見たくない選手にランクインしてしまいました。こんなに業界に推されているのに。
この後書く、3つ目の理由も武藤なんですが、3つの理由の中で個人的に一番尾を引き、一番受け容れたり許す気持ちにもなれず、本当に心底、かつ生理的に気持ち悪くて完全に無理なのがこれです。

女性の評価基準を「子宮」という肉体のパーツ、内性器のみに限定するこの発言は、どういう言い訳があろうとも、本当にごくごく単純な性的物象化(sexual objectification)という女性差別表現です。マジでこれは何の言い訳もできないですよ。女性は観戦するにあたって、試合の良し悪しなんかわからない、「頭」では観ていない、ただのバカ雌でしかないという認識あればこそ、こんなことを平気で言うんですよね。ジジイも勃起させたい的なことを言ってるなら、まあそういう性しか価値基準がない世界観なんだな…(ドン引き)で終了しますが、女性の子宮限定なので。
「20歳」というギリギリ成人年齢の女性の子宮なのも、完全にエイジズム(年齢差別)です。江戸時代の艶笑落語とかだと、こういう時は「死にかけの婆さんも化粧を始めるような」とか老人に矛先が向くもので、まあそれもエイジズムですが、しかし先日まで子供だった存在を性的に狙うより1000倍マシですね。女は若ければ若いほど良いという世界観は、ネットの普及と共に日本社会でマジのマジで一般化してしまいました。要するに無垢な子供を犯したいという気持ち、まあさっきも書いたように内心だけならどうぞご自由にですが、表立って大声で言うなよ。週プロもそれを見出しにするな。
こういうことを言うと、年寄りのひがみとか思う男性もいるでしょうが、人間誰でも一度は20歳だったんだよ。20歳の頃の自分が60近い男に性的に見られる恐怖で震えあがってるのを、今の自分が代弁しているだけです。
そもそも、女性=子宮という性への認識自体がもうおかしいんですよ。例えば私の母は病気で子宮を全摘出していますが、母は今も女性です。若くして同じ病気で同じ手術をしている「20歳」もいるでしょう。その人達はじゃあ一体なんなんですか? 彼が楽しませたい対象ではないんですか? 「病気の人達以外で」という趣旨の発言なら、もう完全なる差別ですよね。エイブリズム(健常主義)です。
子宮がない女性は普通に、その辺にいます。
トランスジェンダー女性だってそうです。トランス何それ、というならそれはトランスフォビア。
こんなに一言で差別主義を重ねがけできる人あんまりいないですよ。すごい数え役満ですね(呆れています)。

ついでに個人的なことを書きますと、私はアセクシャルです。
他人に対して性的欲求を持たず、他人から性的欲求を持たれるのも無理という性的指向です。そういう人間が、性的欲求のみの価値基準を押し付けてくる人に対してどれだけおぞましい気分になるか、アロセクシャルの皆様も想像だけなら少しはして頂けるかと思います。
そしてこの発言は、武道館の対潮﨑戦を前にしたインタビューだったことも最悪で、対戦相手である潮﨑のファンはそういう価値基準で観てるという前提があるように聞こえるんですよね。「おれの方まだまだヤれるぞ」というね。そういう意味でマジで私はこのセクハラ発言の被害者ど真ん中なんですよ。
セクハラしてきた人間の顔を観に、わざわざ大金払えってか?

しかしながらこの件も、はっきり言うと会社(と週プロ)の責任です。
当たり前ですが雑誌の取材は選手が単独で受けるものではなく、通常スタッフがついていて、ある程度チェックを入れます。例えば今後の予定とか、守秘義務がある事項についてペロっと喋っちゃったりすることもありますからね。ノーチェックならもう最悪です。
だからこういうことを武藤が言った時点で、スタッフが「今のはカットで」とお願いすればよかったんです。武藤はともかく、スタッフはコンプライアンス研修受けてますよね? 受けてないのかな? サイバーエージェントにはコンプライアンス研修がないのかな?(2回目)
選手を守る、という観点で考えても、スタッフがある程度そういったリードを取れない状態は非常にまずいと思います。
武藤ファンの友人曰く(なんと、私には武藤ファンの友人がいます)、彼は20年前からこんな感じで、もう直すのは無理だということでした。私もそう思いますし、正味こんな感じの老齢男性は世間にいくらでも、無限に佃煮を作れるほどいます。ありふれて珍しくもなんともない、クソセクハラクソジジイです。要するに、スーパースター武藤敬司がこんな汚名を今更改めて頂戴するハメになったのは、スタッフがご機嫌伺いしかできないからですよ。
週プロ側、ベースボールマガジン社コンプライアンス研修してないんですかね?
国内蛸壺メディアすぎて今更やる理由ない、センセーショナルな見出しで売り上げを上げたいという判断なのかもしれませんが、現代のメディアとして普通にまずいですよ。
外配信が始まったことによって、海外のファンからも記事への注目度は上がっています。翻訳かけたら一瞬で「終了」みたいなの、出していい理由あります?
もしかして日本のスポーツメディア自体終わってるのかな?

 

理由その3

number.bunshun.jp

これももうあんまり説明の必要はないと思いますが、このNumberの橋本宗洋氏の記事に最後にまとめられていることそのままです。
東スポの元記事はこちら。

www.tokyo-sports.co.jp

この発言が出た時、なんかもう理由その2の答え合わせのように感じました。
これが出るまで、千歩譲って時代遅れの茶目っ気表現と捉えようと努力していたのですが(マジで)、この発言で「本当の本当に女性差別者だからあんなことを言ったんだ…」というのが確定事項として覆せなくなってしまって、ちょっともう……限界に来ました。
橋本宗洋氏が先ほどの記事を出してすぐ、ノア武田取締役との会談を持ち、サイバーファイト全団体の現場取材から外れることになった*4のが本当に最後のとどめだったかもしれません。
橋本氏の記事、前半部分を読めばわかるように、批判がメインではないんですよ。あれはオマケです。きちんと取材した上で、試合の意義を再確認し、未来の展望を示して団体をアゲて行こうというのがよくわかる記事だと思います。最後の批判は、そのためのひとつの問題提起ですよね。だからまあ、当たり前ですけどこの後も関わり続けようという気持ちは、執筆時点ではあったと思います。というか橋本氏のノアがらみの記事いつも読んでいましたけど、選手の背負っている来歴を洗いだし、取材や質問の角度も鋭く、点を線できちんと結んで大きな絵を見せられる良い記事ばかりでしたよ。

それを呼び出して、決裂に至るというのは……。

団体は完全に「選手を守る」手段を履き違えています。

守護りたいなら、東スポ相手にこんなこと言い出した瞬間に「カットで」って言えばよかったんですよ。スタッフはコンプライアンス研修受けているでしょう。サイバーエージェントにはコンプライアンス研修がないのかな?(3回目)
ないのかもしれませんね。橋本氏の記事の最後にもあるように、この東スポの記事を公式アカウントでツイートして、橋本氏が「公式でこれはまずいですよ」とツイートしたら該当ツイートを取り消して、そのまま知らんぷりでしたからね。
この件も、会社はツイ消しと記者解雇以外何もしませんでした。最大の対象であるはずの客、ことに一番愚弄した相手である女性客に対して、何のアクションも起こしませんでした。
それって・・・"わきまえない女性客"はいらないってコト・・・!? と思ったので、私は次の日くらいにFCに電話して、既にFC先行で購入していた3万9千円分を払い戻してもらいました。約よんまんて。いいお客さんですね私(目が悪いので遠い席は辛いのです)。
この時、FCの電話を受けてくれたのは女性社員さんでした。
そう、ノアの内部には女性社員もいます。専属カメラマンも女性です。通訳も女性です。ある程度通っているファンならみんな知ってるよね。名前もわかるよね。
そういった団体のために働き、発展のため尽力している女性社員はみんな"わきまえ"させられていらっしゃるということなのでしょうか? 絶対に意見を言わない、意見することを許されない立場で仕事をしていると?
サイバーファイトの女性社員は、男性社員より一段下で控えているのが普通なんですか?
東京女子の選手もそんな感じなの?

……サイバーエージェントにはコンプライアンス研修がないのかな?(4回目)

 

コンプライアンス研修、してください。

選手、スタッフ、関連マスコミ、合同でしてください。

サイバー系列だけでなく、他のすべての団体もやってください。

ていうか全スポーツでやってください。

こんなクッソくだらねえ、一般社会人として、一般企業として当たり前のことも守れずに、客から金をとろうとするな!

最低限の常識だろ!

 

あまりに辛い。

 

というような経緯を経て

12.5ノア名古屋国際会議場大会で潮﨑が復帰すると聞き、私はチケット購入を一瞬迷いました。当たり前ですよね。上で書いた3つの理由による心の重さは、10か月経過してもどこかに行くことはなく、私のプロレスファンとしての精神の真ん中に依然として鎮座していました。
でも、あれから春も夏も秋もずっと辛くてずっと悲しくて、体調もガタガタだった私が、復帰のマイクを聴いた瞬間、それはもう宙に浮くほど嬉しかったんですよ。
鬱が治った! という感じでした。自分でびっくりした。
だから、長いこと応援してきた潮﨑のために……という気持ちで名古屋と後楽園ホールのチケットを取りました。武道館はワンチャン…と思って一応買ってあったのでマジで愚か者すぎるのですが、オタクのそういう愚かさに付け込まないで欲しい。付け込まれてしまうから。

でもいざ名古屋に行くとなると、すごくナーバスになって、辛くなってきました。
私、上記の3つの理由の時、Twitterアカウントでも表立ってタグつけて批判しましたし、FCに電話して返金要求ついでにしっかり抗議入れましたし、ていうかそもそもノアのFC入ったの鈴木軍撤退後すぐだから6年くらい……? つまりアカウントとFCナンバーと顔と本名が一致してる人がいっぱいいる空間に行くんですよ。嫌すぎ。ていうか、向こうが嫌だろうなって。スタッフも、私に挨拶してくれたりしていたおまいつ客達も。

そもそも、こんなに重い嫌な気持ちを引きずったまま、楽しく、いやせめてフラットな気持ちに戻して観戦できるのかと不安でした。

……まあでも、観戦できたんですよね。
名古屋の第一試合に征矢選手がいたのも良かったのかもしれません。全日本、W-1の時のワイルドキャラを封印し、ひたむきに己の本来の才能であるフィジカルの強さにかけて戦う彼は、今私の中ですごく「頑張ってる人」として称揚されている選手です。

名古屋大会が終わる頃には、リングの中は私が好きだった、特に負い目なく観ていた時と変わらないな~と思えるようになりました。まあ武藤が出ている時は目の焦点を合わせないように努力しましたが……(今も)。

あとやっぱり、プロレスって生で観ると本当に面白いですよね……。
そりゃもともとFC先行で3万9千円分買ってた人間の言うことでしかないですけど……。

 

じゃあどうするのか

急に少し話が関係ないところに行くのですが、先日AEWダイナマイトの2021.12.23放送回の、ナイア・ローズ対ルビー・ソーホーの試合で、こんなことがありました。
ナイアはトランス女性の選手なのですが、最前の客がそのことを揶揄したサインボードを掲げていたのです。

こんなの。

これはトランス女性に対して本当に悪質なミスジェンダリングで、到底許されることではありません。当然この画面キャプチャをきっかけにTwitterでAEWを視聴しているファンから批判が殺到し、この悪質サインボードガイはそのあとスティングの長い入場で画面が切り替わったあたりでいなくなっていました。ナイアの試合とスティングの試合の間の試合では普通に座っていたので、恐らくスタッフに連れ出されたのだと思われます。
この時、この件に関して声をあげたファンのほとんどが、この差別的行為を批判し、AEWの対処を求めていたというのが印象的でした。日本でもし同じことがあった場合、「ネタなんだからそんなに怒ることないだろ」って冷笑してくるファン多そうだな~と思います。向こうはほとんど怒ってた。

で、特に印象に残ったのは、Be a better person、Be kind」という呼びかけをしていたファンが数人いたことです。

「こういう差別行為を面白半分でするのはダメだ、我々はより良い人間であろう、優しい人間であろうよ」

こういう時に、まず怒りよりもこうした呼びかけの言葉を紡げるのは、多分少し当事者性の低いファンだとは思うのですが、より良く、色んな人が快適な気持ちで楽しく応援できるファンダムの形成において、この優しさへの呼びかけがどれだけ大きな力を持つことか。当事者性は低くとも、マイノリティに味方し、差別に反対する「アライ」ができることの中でも、最善のことのひとつだと思います。

なんというか、もうこれしかないんじゃないかと思いました。
私は……日本のプロレスの中で一番好きな選手が、プロレスリング・ノアの所属です。
彼にはこの団体で命を懸ける理由があり、実際に命を懸けています。
2013年以降、彼が団体を移っても応援してきた私は、今のその彼を応援したい。
一方で、その団体は私の心をズタズタにするような、社会的にマジでどうかしてるクソヤバ団体でもあります。リング上はともかく、ですよ。

悩んで、私の下した結論は以下の通りです。

 

・選手の応援は続ける

・団体を信用しない(団体グッズとか買わないし、懇親系イベントには行かない)

・この件をブログにしっかり書き記し、検索で辿り着いた世の人に「プロレスって2021年もまだこんな感じなんだ」ということを知って頂く

・完全にもう大丈夫と思えるまで、プロレスを観たことない人を誘わない

・似たようなことがあったらまた正当な手段を持って公開批判し、場合によってはまた払い戻しをする

 

逆アンバサダーじゃん。

プロレスリング・ノア非公式逆アンバサダーに就任しました。
私これまで何度かプロレス観たことない友達を連れて行っていて、そのたび面白さを熱く語る熱心な隠れアンバサダーだったんですよね……。

あとこの件でキャンセルカルチャーについて調べたりしたんですが、もう日本と海外で状況が違いすぎて、キャンセルカルチャーのキャの字を出すのもおこがましいですよ。
行き過ぎたキャンセルなんか日本のどこでも起こってねーよ!!!!!
日本はまだ、正当な抗議に対して不実な謝罪がギリ行われるか行われないかくらいのレベルじゃないですか。「差別はよくない」という社会的コンセンサスもねえよ。前近代的~!!!!

真面目に言うと、こういった事件が起きた後、再び「もう大丈夫」って思えるには、もう一度事件が起きた時にきちんとした謝罪などの対処がされるか、もしくは当事者が「全く逆の善行を積む」しかないんですよね。
民族差別や女性差別に反対する言動を取るとか、そういうNPOをめちゃくちゃ支援するとか、募金するとか、やってくれれば一発なんですけど。
でもそういう機会ってまず訪れないので、この先もし何も起こらなかったとしても「絶対安全」という判断にはならない訳です。
だから私は、明日また何かあるかもしれない、明日がよくても明後日は、次のビッグマッチは、とずっとずっとずっとずっとずっとずっと永遠に怯え続けなくてはいけない訳です。
でもそれが「良くない」ジャンルを愛してしまった人間の、最低限強いられる緊張、負うべき苦しみなのだと思います。

 

まあとにかく、早くコンプライアンス研修してくださいね……。

 

余談

同じように、自分の好きなジャンルで起きた事件を丁寧に批判していたこちらのブログにものすごく共感を覚えましたので、リンクを貼っておきます。ジャンル全然違いますけど。

tegi.hatenablog.com

特に↓の「そのあとのこと」で書かれた、↑の批判を書いたあとでライブに行った時に感じられたという居た堪れない気持ちが、私も名古屋で思ったことと大体一緒で、なんかみんなそういう気持ちの動きがあるんだな……と、ジャンルは全然違うのですが、何かを本気で好きなファンとして、小さな慰めというか励ましのように感じました。

 

tegi.hatenablog.com

 

私たちは、文化を愛するのと同時に、ただの人間としてBe a better person、Be kind」でありたいのです。

そしてある文化のファンダムを構成する人間としても、良き人間、優しい人間でありたいのです。

今書いてて思いましたが、これ、カート・ヴォネガットの「神よ、願わくば私に、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とを授けたまえ」っぽい。
でもね、この世界における差別の撤廃は歴史的に、性差別も人種差別も、「変えることのできる物事を変える勇気」によってなされてきたものです。

Be a better person、Be kind!

*1:このツイートの引用先

*2:ジャン齋藤氏のこのツイートあたりでようやく会社に響き始めたという感じだったと認識しています。

*3:2008年、大日本プロレスの女性スタッフに対し、強制わいせつ事件を起こしている

*4:報告はこのツイート。辞めてくれだったのか辞めますだったのかは不明だが、呼び出したのは明らかに取締役側だろう