Gazes Also

…もまた覗く

うたかたの夢が消えるとき

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2020.3.15WRESTLE-1大田区総合体育館大会に行ってきました。
本来、15日はNOAHのファン感謝デー的な大会があり、そちらのチケット予約もしていたのですが、コロナ禍で中止となりまして、かなり迷ったのですが大田区へ。
メインのカードが決定したのは2.12W-1後楽園ホール大会後のことで、カズ・ハヤシ中嶋勝彦というマッチアップを聞いた瞬間、「観たい」と思ったのは確かです。
かつて全日本のジュニア王座戦で戦った二人。ハヤシさんの本気のシングルも長らく観ておりませんし(W-1を観に行っていないので、団体内でそういう試合があったのかどうかすらわかりませんが)、興味が沸いたのは事実です。
それにW-1で外敵ヒールとして振る舞う、他団体王者中嶋勝彦をちゃんと見ておきたいと思ったのも事実。
ただ、いざ15日のNOAH北千住大会が中止となり、実際行ける(W-1は大会を中止しなさそうである)となったとき、改めて「本当に観たいのか?」と自問すると、迷いの方が大きくなっていました。
なぜかというと、それは
⓵ハヤシさんが明らかに一線を引いてコンディションも良くなさそうな見た目なうえに、左足大腿二頭筋断裂という大ケガをした状態で、中嶋勝彦の現役の上から数えた方が早いベストコンディション+世界有数の蹴撃+容赦なきヒールムーブにきちんと対抗して試合ができるのだろうか
②という点を踏まえても結果が見えすぎていて、「中嶋勝彦をどういう説得力で負かせるのか」という点だけを観に行くのってあまりに貴族の遊びでは?
③これまで何度か観たW-1のビッグマッチが面白くなかったので、それ以外の試合にまったく気持ちが乗らない
という3点が主に挙げられます。
そんなことで悩んでいたところに、3月31日をもってW-1活動休止のニュース。
い…行きたくねえ…
上記の②は、とはいえ展開次第でわからんかなとも思っていたのですが、まあこれ決まったら外敵王者に持たせっぱなしで活動休止とかあるわけねーじゃんとプロレス観たことない人だって思いますよ。いわんやすれっからしのアメプロ畑出身者をや(アメプロ畑は「株価が下がるから王座移動はない」みたいなバックステージ政治言説を毎日致死量まで浴びさせられるゾンビ製造畑です)。
いやむしろ「看取る」つもりで行くべきなのか?
コロナ禍の中押し切って開催されるビッグマッチがどんなものなのかという純粋な興味もあるにはある……

思い返せば7年前、2013.9.8W-1旗揚げ戦を私は非常に複雑な気持ちで、ただ大きな希望は持ったまま観に行きました。
2013年6月に持ち上がった全日本プロレス分裂騒動。
その中心は当時のオーナー白石伸生氏の言動を巡る是非でした。3月くらいからFaceBook上で「現代プロレスに蔓延るヤラセ」や新日本プロレス批判を始め、謎の「ガチンコ格闘プロレス」路線の提唱を始める所信表明、そりゃ当時の新日オーナー木谷氏の怒りを買うわ、それを諫めた内田社長の解任を持ち出すわ、もう蜂の巣をつついたような騒ぎになっていたのです。
当時唯一の業界紙にして、当の白石氏から「新日に広告を出してもらって馴れ合っている」との批判を受けた週刊プロレスは、(当然ちゃ当然ながら)のっけから白石批判の論調。武藤全日離脱の第一報と週プロのインタビューが間を置かず出たことからも、まあ完璧に武藤の味方でした。
というかまあ、白石氏の滅茶苦茶な上に当時のプロレスに対する知識の浅さ(NOAH観たことなかったっぽいことも言ってた)などを見て、白石氏に与する人はファンも含め皆無……という状況だったかと思います。
私も「ガチンコ格闘プロレス」という文字列に激しい嫌悪感を催しておりました。ガチンコってなんやねんと。むしろ総合舐めてんのか的な。今思えば、割とピュアなプロレスファンであった白石氏が、新日本プロレスリング&全日本プロ・レスリング創立40周年記念大会などを経て色々見て、なんかピュアに傷ついちゃったんだな……と察することはできますし、多分「ガチンコ格闘プロレス」とはオタクが言う「バチバチした熱い試合」のことなんじゃないかと推測もできます。語彙が無いというか、この「バチバチした熱い試合」ってジャンル名があるようでないのでフンワリしててしゃべりにくいですよね。それはわかる。激闘?死闘?それはどっちかというと形容詞だしな。難しいよ。
とはいえ、世間の論調は白石=バカ、白石を批判する武藤=かわいそうという感じで、大義は武藤の側にあったわけです。
そんなこんなで分裂騒動が起きて、バカがオーナーの団体と、武藤が新規に立ち上げた団体が二つ目の前にあったら、どっちをまず応援するかといったらまあ…そりゃ…武藤だろ……という感じで、9.8W-1旗揚げTDCホール大会は満員御礼となったわけです。

全日本プロレスは、この分裂騒動で客入り面において大打撃を受けました。
覚えてますよ、6月の後楽園ホール大会で、白石オーナーがマイクを取り、震える声で「私はもともと新日本プロレスさんのファンです(だから真摯に反省していると言いたいらしい)」と言った時のズンドコな気持ち……。あんなの味わいたくないよね。わかる~。
しかしながら、前年の文体における船木対諏訪魔戦の三冠戦や、1月より参戦したバーニングがエントリーしてのチャンピオンカーニバルで行われたような、それこそ「バチバチした熱い試合」の路線を踏襲した興行を行っていたのは、バカがオーナーとして残った団体、全日本プロレスの方だったのです。余人はいざ知らず、私が期待していたのはそれ。
W-1は? 違いました。
9.8旗揚げ戦、最初にチアワンのパフォーマンス付きで「ヒールにはブーイングをしましょう」の解説Vが流れた時、私はそれに気づきました。めちゃくちゃ寒いとこに来ちゃったぞ…と震えたのを覚えています。コールもブーイングも「しましょう」じゃなくて、したいヤツがすればいいんだよ。客に観方を強制すんな。
ヤベーぞ…と思っていたところに流れる第1試合、大和ヒロシの生歌。絶対ヤバい。
今でこそ海苔屋さんですが、当時のイメージは佐藤光留とのタッグ、情熱変態バカでの、その名の通り情熱・変態・バカとしか言いようのない熱い試合のイメージでしたし、2013.6.2後楽園ホール大会での金丸義信とのジュニア王座戦、良い試合だったんですよ。ああいうシリアスな試合をヒロシに求めていた私は、大ダメージを負いました。海苔は美味しいので良いと思いますが、まだこの時は海苔も売ってないしね。
ヘビー級は諏訪魔、ジョー、曙、バーニングが残留した全日本の方が充実して見えるが、ジュニアはジュニスタとコンカズがいるW-1の方がスターが多いだろうと思っていた矢先のこれ。
コンカズはなぜか突然無差別級とか言い出して、当たり前のように関本岡林に負けていた。なぜ急にそんなことを言い出したんだろう。わからん。その後挑んだ高山さんに「ヘビー級はそもそも無差別級なんだよ」という当たり前の突っ込みをされていた。
そして何がダメだったかというと、当日まで参戦がわからない「X」がいたんですが、それがボブ・サップだったんですよね。あのね、サップだってわかった瞬間のTDCホールに流れたドン引き感、すごかったよ。私もドン引き。一緒に来た親友もドン引き。
誰だ、2013年にサプライズゲストがサップで良いと思ったやつ。
武藤か? 武藤なのか? 海外折衝をしてたらしいジミー鈴木なのか?
ほんとびっくりしました。
で、私は本当にわからなくなったので、その後TSUTAYAオンライン宅配DVDレンタルで、NOAH旗揚げ以降の全日本のDVDを全部観ました。当時は幸運なことに、ボーナス収録がかなりいっぱい入ったビッグマッチDVDの他に、年間ベストみたいなのが毎年出ていたんですね。2010年までですけど。
それで私はひとつの結論を出しました。
武藤全日本とは、武藤敬司の脳内を再現した夢の世界である。
そしてW-1はそれを正しく継承した団体だ。
ていうか武藤全日本、めちゃくちゃアメプロっぽい。スターを豪華に無駄遣いした小ネタで楽しませ、メインの三冠戦だけはキッチリした試合で締める、パッケージプロレス。アメプロ畑育ちにとってはあまりに見慣れた光景でした。
RO&Dの存在もデカいのですが、特に(川田利明がいなくなってからの)2005~2007年のチーム3Dが来たり、ザック・ゴーウェンが来たりするあたり、めちゃくちゃアメプロを感じた。彼らがいるから、というよりその招聘されるストーリーの流れが。
それらのソープオペラというにも小型の作られたドラマの合間に、太陽ケアの戴冠に人目も憚らず大号泣してしまうTAKAみちのくであるとか、ホンモノのドラマもいくつか混ざり、なるほど納得のワンダーランドでした。
しかしそれも暗黒期の新日に乗り込んで、武藤自ら三冠+IWGPの四冠とかやり始めたあたりが頂点だったのか、やりたいことを全部やり終えてしまったのか、それまでずっと大体新日/WCW人脈で新ネタを盛っていたもののついにネタが尽きたのか、新日人脈の最後の切り札的に呼ばれた船木誠勝プロレス復帰参戦によって、団体の色がぐるりと変わっていったように思えます。夢の世界がうまく回らなくなったというか。試合の空気が変わったというか。
船木さん、アメプロ的なドラマ仕立ての試合、できませんから。
勿論それまでも、主に小島聡が牽引したヘビー級戦線は、アメプロソープオペラ部門とは一線を画すものでしたが、船木さんはそういう枠組みや「武藤の世界観を壊さない」みたいなことはあまり考慮している節はなかったように思われますので、やはり船木さんの存在は劇薬だったかと(そんな船木さんに旗揚げでパイプ椅子持たせたW-1)。
しかしそれによって水を得たのが諏訪魔
諏訪魔さん、アメプロ的なドラマ仕立ての試合、できませんから……。
武藤の膝下において成長し、三冠王者となるもいまいち時もところも得られなかった諏訪魔が、船木誠勝と向き合い「バチバチの熱い試合」をすること(してもいいということになったこと)に活路を見い出したのは想像に難くありません。
そんな風に、自然発生した「バチバチの熱い試合」が団体の気風を変えんとしていた時期に現れたのが、2012年末にNOAHを退団したバーニングの5人。
あーもう絶対面白い試合になる…観た過ぎる…船木と秋山の再戦も観たいし船木と潮﨑も観てみたい…ていうか諏訪魔と潮﨑の続きが観られる…(これは観られたので最高)ていうかジュニスタ、コンカズと金丸鼓太郎青木…ヤバい…観たい…今でもそんなん観た過ぎるわ…そんな期待がめちゃくちゃ高まっていたんですよ。私の中ではね。
そんな諸々の期待をぶっ壊して旗揚げした新団体で呼んだXがボブ・サップかあ……。
確かに武藤全日本の路線ではあるわ……。謎に往年の外国人有名選手がゲストで来る感じ。めちゃくちゃ納得しました。そして旗揚げから何回かは諦めずに行ったものの、全日が面白すぎたのでW-1とは次第に疎遠となって行きました。

いやまあその後もTNAと提携してAJスタイルズを呼んでくれた時とか(私の大好きな「TNAのAJ」を観させてくれたことはずっと感謝します)、野村青柳が参戦した時とか観に行ってはいるんですけど、期待のゲスト以外の試合はなんというかぎこちないアメプロというか、武藤全日本時代、言うて一流の選手を使ってやっていたアメプロ風興行を、まだ未熟な若手にやらせるのはそりゃ無理ですよという印象しかありませんでした。
武藤の夢の世界をきちんと成立させるにはかなりの役者が必要で、マスターズが上手く行くのは逆に道理に思えるんですよね。
その後のことで覚えている試合は2試合くらいなのでその印象を書くと、KAI対稲葉の王座戦、試合前のVで「極反り卍が極まったら勝つ」を連呼していたので、そうなんですねと思ってみていたら、「極反り卍が極まったから勝ったことになった」という感じの試合だったので、そうなんですね~~と思いました(他に言いようがない)。
あとは海外から帰ってきた児玉くんと鼓太郎さんの試合で、これも「なんか最後に危険な感じのオリジナル技が入ったので勝ったことになった」としか言いようのない試合で、まあ…若手を成長させないとね…と思いました。この気持ちはその後、青木が岩本くんに負けたときも思ったので、まあしゃあない。釈然としませんが。
というか危ない角度の技が入ったから終わる試合、私本当に苦手です。大体の試合はそうじゃんと言われたら、お前な、それまでのロジックに乏しいからそういう印象になるんだよ。身体能力のすごさが観たけりゃ新体操観てるっつーの。

そんな感じでボロカスな印象しかないのに…なぜ観に行ったんだ、家でゲームしてろよと旗揚げ戦を一緒に観に行った友人に言われましたが、まあ観に行く決め手となったのは、GAORAの中継中止が発表されたからです。
これ、今後検証ができなくて何が起こったのかわからない密室状態になっちゃうじゃん、こんなにボロカスな印象しかないのに、それをモヤっとしたまま引きずって、この後別団体に上がるであろうW-1の選手を見るのは嫌だなあと思ったので、まあ上記の武藤全日本のDVDを全部観た時の気持ちを奮い起こして、大田区に参りました。

前置きは以上です(長い)。
この後は各試合の感想を簡単に書いて終わります。

 

シングルマッチ 30分1本勝負
藤村加偉 vs 仁木琢郎

すみません、着いたのは15時ちょうどくらいだったので、そもそも間に合っておりませんでした。
当日券を買おうとしたら行列ができていて「マジか?」と思ったらそれは関係者取り置き引き換えの行列で、それもなんかこの団体っぽいなと思ったが、それはW-1に途中から合流した、かつて「アフターパーティー団体」と揶揄されたWNCの印象だ(海外選手をよく呼んでくれたのでアメプロ畑者としてちょくちょく観に行っていましたが、華名さん(現世界のASUKAさん)への賃金未払い事件以降観るのを辞めました)。
そして驚くことに、自由席が売られていない。
当日1000円アップは告知があったので、ギリギリまで迷った私が悪いのだ…と思いましたが、当日自由席ナシは告知が無かったぞ。ハードコア商売やな~。
というわけでスタンドC席を買いました。これでNOAHのグッズ通販すればよかったかもしれないね。でも勝彦も観たいしね(自分に言い聞かせる)。

席についたら仁木くんが逆エビで勝っていました。逆風すぎる状況の新人、どうしたらいいんだろうね…。私も初就職先がクソすぎて2週間で辞めたよ。がんばれ。


6人タッグマッチ 30分1本勝負
アンディ・ウー&アレハンドロ&エル・イホ・デル・パンテーラ vs タナカ岩石&本田竜輝&SUSHI

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大会場で訊く『スシ食いねェ!』、なんか細かいアレンジがあるんだなといつも思っている気がする。
本田くんが頑張っているように見えました。
おしゅしはヘビー級として頑張ってほしい。諏訪魔に高角度回転エビ固めで勝った時のことを忘れないでほしい。

6人タッグマッチ 30分1本勝負
頓所隼&ペガソ・イルミナル&田中将斗(プロレスリンZERO1)vs CIMA(#STRONGHEARTS)&T-Hawk(#STRONGHEARTS)&鬼塚一聖(#STRONGHEARTS)

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ストハー、DDTで一回観たっきりなのかな?
T-Hawkはその時多分いなかったので初めて観たのですが、なるほどスター感のある選手で納得しました。
そしてどこにでもいる田中将斗。どこにいてもかっこいいけど、ほんとどこにでもいるな…。
ストハーが良いユニットであることは疑いようもないのですが、なんとなく余裕な感じの相手とやってるところしか知らないので、明らかに格上で強い相手とやったらどうなるのかなーということが気になります。

▼8人タッグマッチ 30分1本勝負
近藤修司&征矢学&立花誠吾エル・リンダマン(#STRONGHEARTS) vs 伊藤貴則&一&MAZADA&歳三

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アル・スノーの苗字が出てこなくて検索しちゃった。マネキン生首キャラといえばアル・スノー。クリスチャンとの欧州王座戦で、「その骨ばったケツを賭けろ」と発言したアル・スノー(苗字は忘れてもそういうことは忘れない)。
一くん、ずっとこういうキャラなの?と思ったらキャラチェンジしてのこういうアレだったんですね。色物はプロレスが上手い人じゃないと生き残れないぞ。

W-1活動休止の会見で、ハヤシさんがプロレス総合学院にかなり熱意があったんだなあと察せられることを色々仰っていて、なるほどなあと思ったんですが、確かにアメリカではお金を払ってジムでプロレスを習い、ジム主宰の試合や地方インディーでデビューするというルートは普通なんですよね。
でもそれはつまり…そういうデビューしたてホヤホヤの人って、当たり前だけどこの方式が一般化しているアメリカでは、大きめの団体にはいないということです。日本の新弟子方式はデビューまでに時間がかかって、お金をBETしていない分振るい落される量も多いですし、「この団体の子になりに来た」感が高いのでファンの迎え入れる感覚も優しいですよね。アメリカ方式はそういうの無いです。
W-1の上位選手(武藤、コンカズ)のレベルの高さを考えると、興行のパッケージの中に「素人に毛が生えた」レベルを入れちゃったというのはなかなか…そんなにレベル差が激しいアメリカの団体、あんまり聞いたことないですよ…。そういう方式の育成自体はいいけど、日本で、お金を出して観る方のことを考えたらあんまりやらない決断だったのではないでしょうか……。なんかやりたいことが前にありすぎて、全体的にユーザーフレンドリーじゃないんだよな武藤全日本もW-1も。客の方を向いていない。

WRESTLE-1クルーザーディビジョンチャンピオンシップ 60分1本勝負
【第15代王者】吉岡世起 vs 【挑戦者】ヒート

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王者はどう見てもヒートさんの方。余裕綽綽、明らかにミノルスペシャルへの布石とわかりつつも防ぐことのできない徹底した左足責めで吉岡くんを追い込むも、なんかすごい粘って吉岡くんが勝ちました。吉岡くんのクラッシュドライバー初めて見たけど危ないなアレ。スタイルズクラッシュ(バイソンテニエル)のホールドで前に倒れずそのまま垂直にパイルドライバーするというやつですが、危ないよ~。最後に危ないよ~と思ったので危ないよ~という印象の試合になってしまった。気を付けてね…。
とはいえ、ストハーに入って明らかに生き生きした選手になったのは間違いない吉岡くんなので、他団体に上がっても活躍できること間違いないでしょう…と思ったらもう30歳過ぎてるのか。時間の余裕あんまりないな。がんばってください。フリーで生きていくなら、目の前にいるたな…ヒートさんを目指さねばならない。
旗揚げ翌月の10.6後楽園ホールで確か彼の憧れの金本さんとやっていた記憶があるんですが、あの箸にも棒にもかからない新人がここまで来たのが観られたのは良かったです。金本さんが好きってことは、そのパートナーである田中稔にも思い入れがあるんだろうな。まあ田中稔はヒートさんの友達というだけなんですけど。ミノ様とヒートさんの関係めっちゃ好き。

スペシャ6人タッグマッチ 30分1本勝負
武藤敬司浜亮太(大日本プロレス)&中之上靖文(大日本プロレス) vs 河野真幸崔領二(ランズエンド)&KAZMA SAKAMOTO(フリー)

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うわーこれどんな気持ちで観ればいいの…と思っていたら、途中試合が終わった中堅~若手までがワーッと乱入して、本来団体の長兄ポジションである河野くんに次々と串刺し攻撃を決めたので、なんか涙ぐんでしまった。
これはKAIの分!これは真田の分!と彼らが思うわけもないだろうが、そもそもW-1は今はどっかに行ってしまったKAI、真田のエース争いを軸として幕を開けた。
その時大体の人は、長兄・河野くん(全日本で諏訪魔より先にデビューしてるんですよ)を横目でチラっと見て「……河野はヒール路線で頑張るらしいから…」と思ったのではないだろうか。
あんたがしっかりしていれば…というのはあまりにも無責任で重すぎる。でも河野くんがしっかりしていたら…どうだったんでしょうね。結末は変わらなかったかもしれないけど、少なくとも初期の抗争はもっと面白かったんじゃないのかな。この日も場外に連れ出した武藤を椅子に座らせてちょっと転がしただけで終わったので、なんつーかここぞとばかりに蹴ってもいいんじゃないの…と思いました。浜、中之上、どう思いますか。大日で元気にしているのか?中之上くんのために小島聡が来たりしたよな。なんだったんだあれは。

シングルマッチ 30分1本勝負
羆嵐 vs 岡林裕二(大日本プロレス)

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おかばやしはいつどこで見てもおかばやしで素晴らしいですよね。
熊くんもパワーで全然負けていなくてよかったと思います。

 

WRESTLE-1タッグチャンピオンシップ 60分1本勝負
【第19代王者組】芦野祥太郎児玉裕輔 vs 【挑戦者組】稲葉大樹土肥孝司

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試合としてはこの試合が一番面白かった…のかなあ。
ただあんまりどこで感情が乗っているのかよくわからなくて…それは私の席がC席だからなのか、W-1に思い入れが無いからなのかはわかりませんが、ただ彼らがいろいろできるんだなーということはよく伝わりました。
でも芦野くんがコーナーから場外へ児玉くんをロケット式に投げたところとか、反動でなぜか芦野くんが一番ダメージ受けてなかなかリングに戻れなかったり、団体最後のビッグマッチで観るにはウッカリおもしろスポットになっちゃったのが…。
あと最後の方で稲葉くんが児玉くんに仕掛ける→逃げられる→土肥くんが入ってきて合体技→再チャレンジ→逃げられる→土肥くんが入ってきて合体技というループがくるくるして、土肥くんが便利というか、稲葉くんが若干省エネ気味というか、そんな印象もありました。なんかこう、多分私が想像していたのは、最後のビッグマッチでW-1の現在進行形を務める4選手が力を出し切った~というものだった気がするんですが、そういう感じとはちょっと違った気がしました(思い入れがないのですごく曖昧)。

 

WRESTLE-1チャンピオンシップ 60分1本勝負
【第16代王者】中嶋勝彦(プロレスリング・ノア) vs 【挑戦者】カズ・ハヤシ

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まあ、こうなるしかないなあという試合だったので、特に書くこともないんですが。
勝彦がマスクをしてきたり、観客からもらったマスク(仕込んでたな!)を差し入れしたり、小技を挟みつつもとにかくハヤシさんのケガをしている左足を痛めつけまくるヒールムーブに徹しに徹し、観客からおおいにヒートを買ったので、ハヤシさんがちょっと反撃を返すだけで大歓声という、本当にヒールとして素晴らしいお仕事をされていたな…という感じでした。今の中嶋勝彦以外では、なかなかこういうポジションをうまくこなすことはできなかったと思う。
ハヤシさんも本当に、あの脚のコンディションでよく頑張ったな~という感じですね。
いや本当にそれ以上のことが無いんだよな~。
NOAHでの試合に比べれば、明らかに勝彦のキックの手数は少なかったですし…。いつもあの座らせて前後からボッコボッコ蹴るやつ、あの3倍はやってるじゃん。
もうほんとヒールモードの良さを買われてのお仕事で、最大限素晴らしい仕事をしたね!という以上のことはないので…勝彦ファン、言うて最近敗戦を見ることが多い気がしますが…あまりお気を落とさず…という感じです。

 

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そして最後のハヤシさんのマイクに応えて上がった選手がやたら少なかったんだけど、なんだったんでしょうか。みんな売店に行ってたとか?謎だ。

 

 

 

【追記】あまりにも投げっぱなしなので少しオチ的なことを書き加えに来ました。

この感想を読んで、W-1に熱心に通っていた方とかは、あまりにも分裂の恨みを7年越しでおっ被せすぎでは…と思うのではないかとちょっと申し訳なくなったのですが、でも今回も、それにこれまで何回か観に行ったビッグマッチも、ずっと私の旗揚げ戦の印象からブレてないんです。
途中デビューした子たちは、分裂とは関係ないじゃん、旗揚げとも関係ないじゃんとも思われそうですが、やっぱり団体のベクトルというか、思想というものはあって、みんなそれを目指して来た子たちばかりですし、よそから来ても染まるものですし、一貫して「武藤全日本」の思想は堅持され続けてきたと思いますので、別に関係なくないんですよ。

旗揚げ戦のリッチな面子から察せられるように、この夢は、お金がいっぱい無ければ見られない、共有もできない夢でした。「いっぱい」というのがミソで、普通にあるだけじゃダメだったんです。で、貯金がどんどん無くなった結果、どんどん勢いも萎んでしまった。
どこかで夢から覚めても良かったはずなんですが、なんだかずっと逃げられず囚われてしまっていましたね、というのが、私のW-1に対する印象であり総評になります。

 


あと通して読むとすげーアメプロの悪口書いてるっぽい風ですが、アメリカンプロレス、というか武藤が影響を最も受けているであろう90年代のWCWWWF(当時)は特にそうですが、ジャンクフードから五つ星メニューまで並んでる愉快な高級レストランみたいなものだと私は思ってます。シェフ(ビンスだったりハンターだったり)のオススメを、とっても素敵なお店で、しかも豪華演出つきでテンポよくストレスなく食べさせてくれるの。ジャンクフードだって見せ方によっては輝くものです。夢の国のポップコーンには高額払う価値があるでしょう。
逆に言えば、演出がなかったら、ジャンクフードはジャンクフードでしかない。
別にジャンクフードだっていいんですけど、そのまま五つ星メニューと並んで高級店で出てきたら、いやそりゃちょっと違うんじゃないのかなという話になるでしょう。
そして演出にはお金がかかります。
私はやっぱり派手なパイロの演出が毎回あった頃のWWEを見てきたので、アホな曲でアホなことしながら出てきても、火薬をふんだんに使った火花の滝が流れれば心躍りますし、それでこそスーパースターと思えるわけです。
スーパースターは選ばれし者なんです(それがバックステージ政治によって選別された者であろうとも)。夢の国の登場人物になるのは大変なんだよ。

あれだけビンス・マクマホンに嫌われていて、今年も殿堂入りできなかったクリスチャンが、シングル路線の初期すごいパイロだったのなんだったんでしょうね。
後年ランディ・オートンが使うようになるのと同じパイロだったんですよ。
こないだ解説に来た時謎に「バックステージブッダ」と紹介されていたことからわかるように、多分同僚、スタッフ受けはめちゃくちゃ良かったし今も最高なんだろうなー。試合も面白くてどんな役でもこなすし、2005年にはTシャツが一番売れたときだってあったんですよ。
まあそんな人でもビンスとハンターに受けなければどうにもならんのですが。